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リーダーシップを養うには?必要なスキルと能力の高め方を詳しく解説

リーダーシップは、リーダーとしての資質であり、開発をしていけるものではないという考えが過去にはありました。
しかし、行動理論、状況適応理論などを経て、現在ではリーダーシップは「開発」できるものとして捉えられています。(MaCall, 1988)

リーダーシップ開発理論は、経験から学ぶことができる人材を見つけ出し、適切な経験をさせることでリーダーシップを発揮できる人材を育成するための手法です。

この記事では、リーダーシップ開発理論をベースにしながら、リーダーシップを養う方法について具体的に解説します。

【関連記事】リーダーシップについての詳しい内容については、こちらの記事をご確認ください。

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リーダーシップに必要なスキルとは?

リーダーシップを発揮していくために必要なスキルとしては、以下の3つが挙げられます。

1、Capability(能力)
2、Humanity(人間性)
3、Consistency(一貫性)

引用:江波 亮(2008)「リーダーシップ構造論」
引用:江波 亮(2008)「リーダーシップ構造論」p.91

1、Capability(能力)

フォロワーがリーダーについていこうと思える要素の一つが能力です。
この能力とは、「意思決定能力」「行動力」「コミュニケーション能力」の3つです。

意思決定能力は、複雑な状況や問題に対して効果的な判断を下す能力を指します。
これには、データ収集、分析、リスク評価、選択肢の評価などが含まれます。
リーダーは、適切なタイミングで的確な決断をすることが求められます。

また、リーダーは、決断を下した後にそれを実行に移す能力を持つ必要があります。
行動力を持つリーダーは、チームや組織を前進させ、目標に向かって進むことができます。

更に、フォロワーがリーダーの意図やビジョンを理解し、共感を持つためには、コミュニケーション能力が不可欠です。
コミュニケーション能力には情報の伝達だけでなく、対話、フィードバックの受け入れ、チームとの協力なども含まれます。

2、Humanity(人間性)

リーダーにいくら能力があっても人間性が伴わなければ、フォロワーに信頼され指示を得ることは難しいと言えるでしょう。
この場合に必要な人間性とは、「愛情」「倫理」の2つの側面が考えられます。

愛情は、フォロワーがリーダーに対して安心感を持ち、自分たちを大切に思っていると感じることを意味します。
リーダーがフォロワーの個人的なニーズや感情に対する理解と共感を示すことが、彼らとの強いつながりを築くのに役立ちます。

また、リーダーの倫理的な行動は、組織やチームにおける信頼性と尊重を構築する上で不可欠です。
リーダーがとる正しい行動、公平で誠実な態度、約束を守るなどの行動がフォロワーに模範を示すこととなます。
結果として、これらがリーダーシップの信頼性を高めます。

3、Consistency(一貫性)

一貫性とは、リーダーの思考や行動が安定していてブレないことを指します。
この一貫性には、「時間的一貫性」「状況的一貫性」「関係的一貫性」などが考えられます。

リーダーの思考や行動が時間の経過に伴って変わらないことが、時間的一貫性です。

また、リーダーは異なる状況や特定のフォロワーに対しても、普段と異なる扱いをしないよう努力することが重要です。

リーダーが状況や相手に応じて行動を変えず、時間が経っても安定していることで、フォロワーからの信頼を維持しやすくなります。

リーダーシップを養う方法とは?

ここでは、前述したリーダーシップに必要な3つのスキルを具体的に高め、養っていく方法について解説します。

1、Capability(能力)を養うには

上述した中でも、リーダーシップを養うために鍛えるべき能力としては、意思決定能力とコミュニケーション能力が重要です。

意思決定能力の高め方

一つ目の意思決定能力は、知識論理的思考力胆力から成るとされています。

知識は学習と経験によって、論理的思考力は訓練の蓄積によって、胆力は経験と心の持ち方によって習得できるとされています。
経験や訓練によって能力を養う方法については、リーダーシップ研究に関する国際的知名度の高いアメリカの非営利団体 センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ(CCL)が発表しているリーダー育成方法が参考になります。
詳しくは、次世代リーダー育成に関する記事をご確認ください。

一方で、胆力を付けるためには「一皮むける経験」が関連しているとされています。
この胆力はリーダーシップの発生・発現にとって重要であるとされていますが、胆力を持つ人は極めて少ないことが、リーダーを育成する難しさの要因の一つとなっているでしょう。

コミュニケーション能力の高め方

二つ目のコミュニケーション能力には、情報伝達力共感力の2つの側面があります。
情報伝達力は情報を正確に伝える能力を指し、共感力は相手に共感を呼び起こす能力を指します。

この中でも、リーダーシップを養うためには、共感力を強化することが効果的です。
具体的には、フォロワーの異なるタイプや特性に対応するために、コミュニケーションの内容や話法を使い分けることが有益です。

例えば、社会学者David Merrillらが提唱した「Social Style(ソーシャルスタイル)」をもとに、フォロワーのタイプを分類することも一つの手法です。

これは、Driving(現実派)、Expressive(感覚派)、Amiable(協調派)、Analytical(思考派)の4つのスタイルにタイプを分類するものです。
そして、それぞれのタイプに応じたコミュニケーションを取ることで、コミュニケーションの改善を図ることができます。

2、Humanity(人間性)を養うには

リーダーシップに重要な人間性である愛情と倫理自体を養うことは難しいと言えます。
それは、その人個人の性格や価値観に起因している要素が大きいためです。

しかし、言動を変えることで、フォロワーからの安心感や信頼感を醸成することはできます。
日頃から公平で誠実、約束を守るなどの対応を心掛けることが大切です。

また、上述したような、タイプに応じたコミュニケーションを取ることで、フォロワーから愛情と倫理性の豊かな人と認識してもらえる可能性が高められるでしょう。

3、Consistency(一貫性)を養うには

一貫性を強化または習得するには、どの状況でも自己をコントロールし、ブレのない判断や行動を意識的に行うことが必要です。

具体的な方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 自己評価の収集
  • 体力と精神力の強化
  • 組織運営体制の整備

自分の行動や判断に対する評価を周囲の人々から収集し、自己の一貫性を損ないがちな場面や状況を特定します。
360度評価やフィードバックの機会を定期的に設けるなどの手法も有効でしょう。

他者からの評価やフィードバックは、時として厳しいものとなることもあります。
これは、精神力を鍛えると共に、常に改善の意識を持ち、日常的な行動を調整するための思考の耐久力を鍛えることにもつながると言えます。

最後に、リーダーシップが発生・発現しやすい組織運営体制を整備することも重要です。
組織内のチームの相性、タスクの特性、組織文化などが、リーダーシップの発現に影響を与えることがあります。
これらの要素を検討し、リーダーシップを促進する環境を整えることが必要です。

【関連記事】フィードバックを受ける力(コ―チャビリティ)については、こちらの記事をご確認ください。

リーダーシップ研修で学べること

リーダーシップ研修は、リーダーが直面する様々な課題に対応し、組織内で効果的に機能するために必要なスキルと知識を提供することを目的としています。
プログラム内容は組織のニーズにより様々ですが、一般的には以下の内容を効率的に学ぶことができます。

1、リーダーに必要となる基礎知識
2、コミュニケーションスキル
3、チームビルディングと管理
4、課題解決と意思決定

リーダーシップを発揮するためには、自分のリーダーシップスタイルを理解し、強みと改善点を識別することが必要となります。
そのため、自己を正しく認識し、評価を行うことが不可欠です。

リーダーシップ研修では、リーダーシップの定義や異なるリーダーシップモデルを学んだ上で、自分のリーダーシップスタイルの把握を行います。

また、効果的なコミュニケーションスキルの習得は、上述した情報伝達力と共感力の強化につながります。

リーダーとしてフォロワーを管理する以上、集団をまとめ、管理していく力が求められます。
チーム内での衝突回避術や、モチベーションを維持していく方法等は実践で活躍する場面が多くなります。

また、正しく課題を解決したり意思決定を行うには、物事を多面的に捉える力が必要です。
ただ受け入れるだけではなく、批判的思考を持ち、リスクを選別、回避を行う力が必要になる場面も生じます。こうした力を養うには、ケーススタディやロールプレイなど、実際の場面を想定して考察していくことが有効な手段となります。

リーダーシップ研修は、講義、グループディスカッション、ワークショップ、ケーススタディ、ロールプレイなど、多様な教育手法を通じて実施されることが一般的です。
これにより、参加者は理論や知識を実践的な状況に適用し、リーダーシップ能力を向上させることができます。

まとめ

  • リーダーシップの要素は、Capability(能力)、Humanity(人間性)、Consistency(一貫性)のつ。
  • 3つの要素を養い、鍛えるには、以下の点が重要。
    ・知識や論理的思考力を訓練や経験により養う
    ・共感力を強化し、言動を変える
    ・自己評価を収集し、行動を調整していく
    ・体力や精神力を強化する
    ・組織運営体制を整える

フォスターリンク株式会社では、貴社のニーズに沿った人材開発や研修の設計とサポートも行っています。リーダーシップを高めるための研修や手法などについてご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

江波 亮(2008)「リーダーシップ構造論」
中村 久人(2010)『リーダーシップ論の展開とリーダーシップ開発論』
中村 久人(2011)『リーダーシップ発現のプロセスとサーバント・リーダーシップ論の展開』
ビル・ジョージ(2004)「ミッション・リーダーシップ」
Larry C.Spears(1998).“Tracing the Growing Impact Of Servant-Leadership.” In Larry C.Spears ed(1998). Insights Of Leadership:Service,Stewardship,Spritt, and Stewardship-Leadership. New-York:Jhon Wiley & Sons.