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アルムナイコミュニティでネットワークを活用する意義と注意点とは?

人事領域では、企業を退職した人たち「アルムナイ」でコミュニティを作ることで、採用や育成、新たなビジネスチャンスを創出する機会として活用する動きが注目されています。

こうしたアルムナイコミュニティの重要性や活用する上での注意点について、くわしくご説明します。
人材不足解消目的だけではないアルムナイの意義、気を付けたいポイントなども記載していますので、ぜひ参考になさってください。

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アルムナイコミュニティとは

アルムナイコミュニティとは、ある企業や組織の元従業員が集まるコミュニティのことを指します。

「アルムナイ」はラテン語の「alumnus」に由来し、卒業生や旧会員を意味しています。
企業におけるアルムナイコミュニティは、元従業員が企業との関係を維持し、情報交換やネットワーキングを行う場となります。このコミュニティは、元従業員が企業の発展に貢献し続けることを可能にするプラットフォームであり、企業にとっても重要な資源となります。

アルムナイコミュニティとジョブリターンの違いとは

アルムナイとジョブリターンは似た概念ですが、目的と機能が異なります。

ジョブリターンの目的が、即戦力性の高い人材の再雇用であるのに対して、アルムナイコミュニティは元従業員との関係性維持を目的としてます。

また、制度を活用している企業の多くが、以下のように対象者を分けているのも違いの一つとして挙げられます。

  • アルムナイコミュニティ:転職や企業等、仕事の都合で退職した者
  • ジョブリターン:結婚、出産、介護など自身の都合で退職した者

再雇用を目的とはしていないものの、アルムナイコミュニティは現職者がほとんど。
再雇用により優秀な人材を確保しやすいという特徴もあると言えます。

アルムナイコミュニティがなぜ注目されているのか

近年では、人事戦略の一環としてアルムナイコミュニティが注目されています。
その理由として、雇用の流動性の加速化深刻な人材不足が挙げられます。

引用:厚生労働省 令和5年度労働経済分析

厚生労働省の発表によると、倒産件数全体に占める人出不足による倒産の割合は年々増加しています。また、従来の終身雇用の時代が終わりつつあり、転職を選ぶ人も増えています。

このような中、優秀な人材を再雇用するための繋がりを維持する場としてアルムナイコミュニティは重要です。
さらに、このネットワークを活用することで、新たなビジネスチャンスや協力関係が生まれることがあります。例えば、異業種間でのコラボレーションや共同プロジェクトの推進など、企業の成長に寄与するさまざまな機会を生む可能性があると言えるでしょう。

このように、アルムナイコミュニティは、今の時代に即した人事戦略として注目を集めています。

アルムナイコミュニティのメリット

企業がアルムナイコミュニティを設けるメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

1.関係維持とビジネスチャンスの創出

アルムナイコミュニティは、元従業員同士および企業とのネットワーキングを促進する場です。

このネットワークを通じて、新たなビジネスチャンスや協力関係が生まれることがあります。
例えば、元従業員が他企業での経験を通じて得た知識や人脈を活用して、共同プロジェクトや新規事業の展開の可能性も開けます。

2.ブランドアンバサダーとしての役割

アルムナイは企業の文化や価値観を深く理解しているため、自然なブランドアンバサダーとなります。

彼らが企業のポジティブな側面を外部に伝えることで、企業の評判を高めることができます。特にSNSの普及により、アルムナイの口コミや紹介は企業の認知度向上に大きく寄与します。

3.知識と経験の共有

アルムナイは企業に在籍していた期間中に培った知識やスキルを持っています。

アルムナイコミュニティを通じてこれらの知識や経験を現従業員と共有することで、企業全体のスキル向上やイノベーションの促進に繋がります。さらに、アルムナイが参加するセミナーやワークショップを開催することで、専門知識の深化や新しい視点の獲得が期待できます。

4.効率的な採用プロセス

アルムナイコミュニティは採用活動においても重要な役割を果たします。

アルムナイの紹介を通じて、信頼性の高い候補者を効率的に採用することができます。また、再雇用の場面でも、即戦力となる人材を迅速に確保できるため、採用コストの削減や人材の質の向上に寄与します。

アルムナイコミュニティのデメリット

メリットが多い一方で、アルムナイコミュニティは以下のようなデメリットも存在します。

1.管理コストの増加

アルムナイコミュニティの運営には専用のプラットフォームや定期的なイベントの開催が必要です。

これにはコストがかかり、専任の担当者を配置する必要も生じます。特に中小企業にとっては、これらのリソースの確保が負担となることがあります。

2. 情報漏洩のリスク

情報共有の場を設ける以上、元従業員が企業の機密情報を外部に漏らすリスクもあります。

アルムナイとの信頼関係を維持し、適切な情報管理を行うことが求められます。また、コミュニティ内で共有される情報が競合他社に渡る可能性を考慮し、情報セキュリティ対策を徹底する必要も生じるでしょう。

3. 再雇用のミスマッチ

元従業員が再び企業に戻っても、期待したパフォーマンスを発揮できないことがあります。

これは、企業文化や業務内容が変化している場合や、元従業員自身のスキルセットが時代に適応していない場合に発生します。このため、再雇用時には慎重な評価と適切なフォローアップが必要となります。

まとめ

アルムナイコミュニティは企業にとって非常に有益な資産となり得ますが、運営には注意が必要です。管理コストや情報漏洩のリスクを適切に管理し、再雇用の課題に対処することで、アルムナイコミュニティのメリットを最大限に活用することができます。

個人の価値観や労働市場が変容している今、企業は戦略的にアルムナイコミュニティを活用していくことが求められています。

参考文献

・厚生労働省 令和5年度労働経済分析
・厚生労働省 人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて